ホリエモン

 疾風怒濤の日々なのにちゃんとブログを書いているライブドア堀江社長。自社ポータル最大の人気コンテンツなのだから当然といえば当然だが、ラジオ媒体でメシを食うものとしてはIT企業によるラジオ局買収の動きはただごとでない。
 ここ何週間か、既存メディアの論評は「ライブドアVSフジテレビの株買い付け合戦」に力点が置かれているが、まあそれはそれで面白いけど一番考えなくてはならないのは「次のメディアのあり方」が堀江社長によって提起されているという点だ。
 この件については3月3日、堀江社長外国特派員協会で講演した時の模様を見るのがいちばんわかりやすい。神保哲生さんのビデオニュース・ドットコムにUPされている。50分くらいあるので時間があったらぜひ。VIDEO NEWS - ニュース専門ネット局 ビデオニュース・ドットコム

 いや、「ITのトップランナー」(本人談)なのだから当たり前だが、既存媒体でありかついち早く衰退しつつあるメディア(=もちろんラジオのことだ)にいて、曲がりなりにもウェブを番組に生かそうとしてきた身で言うと、堀江社長の見方はいちいち痛いところを突いている。情報発信はかつて既存メディアの特権だったが、論評に関していうとすでにブログの方が面白いし役に立つ。あとは有益な情報やブログを効率よく探し出せるかという問題は残るが、ネットジャーナリズムが成立する要件はもうほとんど完成しつつあるのだ。
  
 もうひとつ、既存メディアにいる側にとって困るのは、情報発信の特権がなくなることもそうだが何よりも「給与が減る」ということだ。巷間噂されるように、堀江社長が既存メディアを傘下に収めた場合には年収は半分、下手をすれば3分の1になっても不思議ではない。ニッポン放送職員の抵抗感は、ホントに他人事ではない。
 しかし、放送局が高い給与を払ってこられたのは免許事業であるため一定数以上ライバルが増えなかったためでもある。だから多少スキルが低くても、問題意識がなくても、怠け者でも放送局に勤務している限りは生活水準が維持できていたのだ。正直言ってこの先、僕は給与半減までは覚悟している。でも、3分の1は困るなあ。住宅ローンも残ってるし。

 というわけでホントは、聴取率調査だの何だのと言って小さなパイの分捕り合戦をしている場合でもないのだが、僕が勤める会社の経営陣や幹部はどれくらい危機意識を持っているのだろうか。「ラジオには独自の味わいが」とか「リスナーとのハートウォーミングな触れ合いが」などと言っていると、堀江社長が主張するように1〜2年で賞味期限切れになっちゃうよ。

 ただ、堀江社長の考える「ジャーナリズムの今後」については少々異論があるのでそれはまた改めて。