10日のお仕事

 スポーツジャーナリスト生島淳さんによると、今回のトリノオリンピックは「見せ物系競技とストイック系競技の相克」が裏テーマなのだそうだ。「見せ物系」とはアメリカ生まれの、エクストリームと言われる“魅せるスポーツ”で今回の競技ではスノーボードモーグルエアリアルなどが該当する。一方ストイック系とは北欧生まれのノルディックスキー=距離競技など背景が変わらない、地味な方の競技を指している。で、冬季五輪はストイック系競技が王道だったのだが、徐々にエクストリーム系競技の比重が増している・・・ という話。
 これは要するに、「テレビ映えする競技への移行」ってことだ。
 エクストリーム系とストイック系の違いは一目瞭然で、100分の1秒を争う(そり種目に至っては1000分の1秒)ストイック系はどの競技もピッチリしたウェアを着ているが、採点競技であるエクストリーム系はだぶっとしている。米誌"Sports Illustrated"に載っているスノーボードアメリカ代表の写真を見ると、結構太めの選手もいたりして「極限まで鍛え抜いた肉体」という印象からはほど遠い。
 エクストリーム系の選手は渋谷や六本木が似合いそうだが、ストイック系の選手は道に迷いそうだ。今井メロちゃんはラッパー(笑)だしね。
 小学3年生から高校1年までを北海道の片田舎で過ごし、小6までスピードスケート少年団に在籍して毎日練習に励んでいた身としては、もちろん「ストイック系」にシンパシーを感じるのであった。

 「メダル取れるか取れないか」ばかりに注目しているとアスリートの凄みみたいなものを見逃してしまう。お祭り騒ぎのテレビ中継とは一線を画し、来週は選手の技術や感覚を中心に扱うべく打ち合わせる。