不埒者の割合

 学校給食費の滞納問題、みんな「困ったことですなあ」という顔で論じている。ニュースの概要は下記の通り。

給食費滞納9万9000人、原因の6割が「親のモラル」

 学校給食費の滞納問題で、文部科学省は24日、初の全国調査結果を公表し、2005年度の小中学校の滞納総額が22億円超にのぼることを明らかにした。

 児童・生徒数で見ると、100人に1人が滞納していた計算だ。(中略)文科省は同日、「滞納が目立つ市町村や学校があり、給食の運営に支障が生じる可能性がある」として、問題の解消に取り組むよう各自治体に通知した。(中略)

 各学校に滞納の主な原因をたずねたところ、「保護者としての責任感や規範意識」をあげた学校が60・0%、「保護者の経済的な問題」をあげた学校は33・1%だった。
(読売新聞2007年1月25日)

 「滞納総額22億円超」とでかい見出しをつけると、金額の大きさから「そんなにひどいのか」と眉間にシワが寄り、「給食食べさせてって頼んだ覚えなんかないわよ」などと督促されて開き直るバカ親のトピックを重ねてお伝えするとテレビを見てる人たちもますます眉をひそめるという反応を招くのだが、「100人に1人」ってそんなに多いか?
 おまけにこの中には「経済的理由で払えない」という家庭も含まれている。確信犯の親とホントに払えない親のパーセンテージをざっくり半々だとすると、不埒な親のパーセンテージは200人に1人、5クラスに1人だ。「最近の親はなっとらん」「だから子どももロクでもなく育つんだ」と自動的に結びつけるにはちょっと根拠が薄弱な数字じゃないですか?
 「給食費」「滞納」で過去の記事データベースを検索すると、このトピックは1997年の記事が初出である。宮城県のとある中学校が給食費を滞納している親に対して「情報公開請求をされたときにはあなたの名前が公表されるかもしれませんよ」と督促したというニュースで、学校側は「やりすぎでした」と謝罪している。ここでわかるのは少なくとも10年くらい前から給食費の滞納は学校にとって頭の痛い問題で、決して今に始まったものではないということだ。
 
 「払えるのに払わないバカ親」の肩を持つ気はさらさらないけれど、不埒者の割合ってだいたいそんなものなんじゃないの?それをことさらフレームアップして見せるのは、ひょっとすると文科省に何か違う意図があるんじゃないかと若干勘ぐっている。

 ちなみに経済的理由で給食費が払えない家庭には、国や自治体が生活保護費や就学援助費に含めるかたちで補助する制度がある。修学旅行費も対象になるのだそうだ。