胃カメラの結果を訊きに行く

 昨年末の人間ドックで「一応、確認しましょうか」と言われ、年明け早々に飲んだ胃カメラの結果を訊きに行く。すんごい待たされるんじゃないかと思い、気楽に読めそうな新書『早実VS駒大苫小牧』を持参。待合室で読んでいると思いのほかすぐに名前を呼ばれた。

 胃の出口付近にタコの吸盤みたいな形の隆起があって、「顔つきは悪性じゃないんだけど念のため」組織を取って検査することになったのだった。ガンには“顔つき”というものがあるらしい。心配はしていなかったが病室に呼ばれるとちょっとドキドキ。説明では中程度の胃炎はあるものの、細胞自体は問題がないとの診断であった。
でも、もう若くないんだなあ。体のあちこちが老化しはじめていることが身に沁みる。

早実vs.駒大苫小牧 (朝日新書)

早実vs.駒大苫小牧 (朝日新書)

 両校の選手が決勝戦2試合にどんなことを感じ、考えていたかがインタビューによって丁寧に描かれている。読んでいて腑に落ちるポイント多し。
 ただし「早実優勝」という結果が出た後にまとめられているせいか、両校のいろんなエピソードも「早実は勝つべくして勝ち、駒苫は負けるべくして負けた」という結論に収斂していくのが気になった。北海道出身者として(日本では少数派であろう)駒苫に肩入れして観戦していたことを差し引いても、あの2試合はちょっとしたアヤで勝敗がひっくり返ったはずなのだ。例えば両校宿舎にカメラを入れて、リアルタイムのドキュメンタリーとして仕上げれば、六月の勝利の歌を忘れない 日本代表、真実の30日間ドキュメント DVD-BOXのような見応えがあったに違いない。惜しいっ!だけど現状では無理だよな。
 それにしても、甲子園に出てくるような子たちの野球は、僕が高校で経験した野球とはまるで別種のものだ。「高校野球は根性」だと思っている阿呆はいまだに多いけど、実は相当高度な技術の蓄積なのである。そのことがよくわかる本でもある。野球好きは十分楽しめる。