ラジオは横町や路地か?

 日曜日のテレビ朝日サンデースクランブル」に出ている丸川珠代はどうしてあんなに嬉しそうなんだろう?いや、好きですよ丸川珠代は。それはさておき、ゲストにテリー伊藤が出ていて、ライブドアVSフジテレビ問題にコメントしていた。
 テリーさんはニッポン放送で月〜金のレギュラー番組を持っているが、ニッポン放送ではライブドア問題に関してかなり厳重な箝口令が敷かれていたようで、自分の番組でこの問題を取り上げることはおろかテレビなど他の媒体で喋ることもNGだったらしい。TBSテレビ「とってもインサイト*1で7日、同じくニッポン放送でレギュラー番組を持つ森永卓郎氏が「いや〜、ようやく喋っていいことになりまして」と言っていたので、きのうをもって箝口令は解除されたようだ。
 で、テリーさんのコメント。「全国の皆さんはご存じないでしょうがニッポン放送はレーティングが一番で」と言っていたがこれは彼の番組が裏番組に勝っているだけであって局全体の聴取率ではTBSラジオに抜かれて3年以上たつので間違いだ、などとケチなことを指摘するつもりはない(指摘してるか)。それよりも去年の新球団騒動の際、ライブドアが球団を持てばテリーさんは顧問か何かに就任することになっていたはずで、どういうスタンスでこの問題を語るのかが注目なのであった。
 結論からいうと、テリーさんの発言は「ニッポン放送のレギュラー出演者」の立場を超えるものでは全くなかった。ラジオの存在意義について「お台場は大きい道路が通ってて整然としてるけど、ラジオはもっと横町や路地みたいなものですからねえ」と言っていたが(これはニッポン放送がお台場から有楽町に戻ってきた時の理屈の引用)、整然として合理的でスパッと割り切れるネットビジネスと対置する形で、ラジオを横町や路地にたとえているわけだ。しかしラジオは横町や路地なのか?
 たぶん「濃密な人間関係」とか「昔ながらの暮らし」とかをイメージしての発言だと思うが、今や都内に残る路地は存在自体が奇跡的な天然記念物であり、ってことは絶滅危惧種ということでもある。そして現存する横町は、JR吉祥寺駅北口の「ハモニカ横町」のように、新しい工夫を続けている。ラジオと横町をノスタルジーで結びつけるのはどうも嫌いだな。
 それに「濃密な人間関係や奥深いコミュニティ」を良しとするのなら、それはラジオよりネットの方に軍配が上がるだろう。インターネットの世界には、入り組んで奥深い路地や横町がたくさんある。これはネットユーザーなら誰でも実感していることで、課題はその入り口を発見してたどり着くのが少々難しい、ということだけだ。
 インターネットとラジオは必ずしも対立するものではなく、相互補完的な関係かもしれないというデータを前述『サイバージャーナリズム論』で見つけた(P98)。6年以上インターネットを使っている熟練ユーザーは、1年未満の初心者に比べてラジオを「重要な情報源」と位置づけているというのだ。テレビは逆で、熟練ユーザーより初心者の方が情報源として依存していることがわかる。ネットユーザーに再発見されて便利に使ってもらえるラジオ。このへんに未来がありそうな気がする。
 ところで前述データはUCLAバークレー校の調査で、調査対象はアメリカに住んでる人でした。残念。 

*1:TBSテレビ月〜金の正午〜午後0時55分。ラジオの関係者からは「ぜったいウチの企画を参考にしてるよね」と疑われている(笑)、ラジオ的な作りの番組。いや、ラジオはテレビにパクられてなんぼだし、視聴率も上がってきているようで喜ばしいことである