「さみしがり屋の言葉達」安藤裕子

 さみしがり屋の言葉達
 先週の水曜日発売で、その前からamazonに予約していたのだが届くのがずいぶん遅くなってしまった。注文を確定した時点では「24時間以内に配達」だったのに、後で確認すると「4〜7日以内」か何かにいつのまにか変わっていて「だったらCDショップで買ったよ!」と思ったことはもうあまり思い出さないようにしよう。
 安藤裕子はいつもいい曲を書く人で、もっと売れるといいなあ、とかねがね思っていた。今回の曲も出来がすばらしいし、携帯電話のCMタイアップも取れて本人も出演。これがきっかけとなって彼女の才能はもっと脚光を浴びるべきだ(ちなみにこの曲は作曲が宮川弾。あまりにも安藤裕子ワールドなので本人作かと思った→この項最後の「追記」も参照してください)。
 「さみしがり屋の・・」が好きな人はミニアルバム「and, do record」も聴いて損はない。特に1曲目「ドラマチックレコード」は気に入るはずだ。

and do,record.(CCCD)
 僕は好きなものの好きな理由を考えてしまうタイプなので、彼女の曲を聴いているといつも「いいポップスとは何か」思いを巡らせてしまう。
 現時点での結論は「聴き手を裏切る意外性」と「聴き手が身を委ねられる心地よさ」がポップスの重要な構成要素で、この2つは楽曲、演奏、ボーカル、歌詞など、音楽を構成するすべての分野で複雑に入り交じって「名曲」と「駄曲」ができる・・・というものだ。
 例えば曲が最高でも歌詞が愚劣だったら聴く気がしないし、演奏がへたくそでおかしな音が入っていたら気が散るでしょう。逆に期待感を高める曲の構成とアレンジ、それと歌詞との相乗効果というものが名曲にはあって、そのツボはある程度似ているからこそ大ヒット曲や「ニッポンのメロディ」みたいのが生まれてきたのだと思う。 
 安藤裕子の曲は細かく予測を裏切る展開があって、それをうまく包み込むコード進行とアレンジ、その上にちょっとシニカルで観察眼の鋭い歌詞が乗っている。ヴォーカルははかないが案外テクニシャンという、一筋縄ではいかないアーティストなのだ。
 う〜ん、この話は譜面と歌詞の関連を示して語るときっと説得力があるんだろうなあ。僕はほとんど譜面が読めないので、誰かこのへんのことを分析してくれる人はいないかなあ。

10月16日追記
 CD棚に埋もれていた「ドラマチックレコード」を引っ張り出して確認したら、こちらも宮川弾氏の作曲でした。この人の作品は少し探して聴いてみようと思います。それから、「ドラマチック・・」と「さみしがり屋の・・」を続けて聴くと、安藤裕子のヴォーカルが格段に進歩していることがわかります。