短期決戦には勝ち方がある

 WBC日本対韓国戦は、負けたことを除けばたいへん息詰まる素晴らしい試合だった。日本と韓国のトップ級の選手の実力が拮抗していることは疑うべくもないが、短期決戦を勝ち残るための「戦い方」を韓国は心得ており、日本はそこが甘かった、と思う。「戦い方」とは采配のことではなく、主にチーム編成と事前の情報収集を指している。 
 王ジャパンは・・・ 日本代表を指揮する監督として王監督は最適任者のひとりだと思うが・・・ 日本のペナントレースのような戦い方を脱することができなかったような気がする。アメリカ戦でも、きょうの韓国戦でも、特にピッチャーの起用ではオーソドックスであった。一方、今回の韓国チームは、投手力と守備力でロースコア勝負に持ち込むチーム編成をしてきた。きょうも抑えとして起用してきたパク・チャンホを先発させ、彼はメジャーで培った緩急自在のピッチングでそれに応えた。その後は惜しげもない小刻みな継投である。そして岩村を本塁で刺したような、今大会ノーエラーの鉄壁の守備である。日本もうまい選手が揃っていたが、小さなミスが失点につながりそれが短期決戦では命取りになる、という意識は韓国の方が強かった。「ディフェンスの重視」。これは実力が拮抗している相手と「負けられない短期決戦」を戦う時の鉄則である。
 もうひとつ、こちらは確たる事が言えないのだが、日本チームは事前の情報収集=スカウティングが機能していなかったのではないか?これも実力が拮抗している相手に勝つためには重要なことである。韓国投手の持ち球やキャッチャーの攻め方、守備陣の肩など、ちゃんと使える情報をどれくらい事前に集めていたのかどうか。選手まかせだったという話も聞いているし、それで勝てるほど日本の野球選手の能力が突出しているわけでもないだろう。

 今回の韓国代表の戦いぶりは、短期決戦を勝ち抜くヒントがたくさん含まれている。韓国が準備したことと日本がそうしなかったこと、誰かこのあたりの話を取材しないかなあ。