フランスの労働環境は(30日のお仕事)

 ニュース担当でフランスのストの話を扱う。日本ではほとんど関心を持たれていないが、解説を聞くといろいろ目から鱗。概要は以下の通り。
 フランスは日本以上に終身雇用が徹底していて、よほどのことがないとクビにならないし労働者側もまず辞めない。そのため労働の流動性が低下し、企業側は新しい人材を採用する気になかなかなれない。このため国際競争力がどんどん低下し、政府や経営者はそれを何とかしたいと思っていた。そこで「26歳未満の若者を採用したら、2年間を試用期間としてその間は解雇自由」というフランスの労働慣行をガラッと変える法案を提出。これは政府や経営者らエリート層の長年の念願だったのだ。
 フランスは階層社会なので、ぺえぺえの新入社員がキャリアを積んでいつか経営者になるなんてことはまずない。エリート養成学校を出た人間が落下傘のように、最初から経営者として降ってくるのだ。日本の場合「いつかは自分も経営側に回るかも」と思うから労働者側も経営側の意図を酌み取ったりするし、「国際競争力が低下してる」と言われれば自分に何かできることはないか考えたりもするのだが、フランスの場合そんなことは一切ない。国家や企業の運営は専門機関を出たエリートがやるもので、己を曲げて協力する理由はこれっぽっちもない・・・ という国柄なのだそうだ。
 グローバルスタンダードが叫ばれた頃、日本の終身雇用制や年功序列は破棄すべき旧世代の遺物として扱われたが、先進国の中にすら日本以上に長期雇用を保障するシステムを残した国があったのだ。フランスの労働慣行がいいとは全然思わないが、何かというとアメリカの制度だけを比較参照したがるクセもたいがいにした方がいいのだな、と自戒した次第。
 
 ちなみにフランスの制度や国民性を平易に解説した本に、安達功『知っていそうで知らないフランス〜愛すべきトンデモ民主主義国』(平凡社新書ISBN:4582851142

 きょうのゲストは夏目房之介さんと高橋幸宏さんで、僕らくらいの年代(40歳くらい)の人間は何かしら影響を受けているはずである。生で会えてよかった。夕方から聴取率調査週間に向けての各番組のプロデューサー会議。