ラテ欄

 「ラテ欄」とは新聞の「ラジオ・テレビ欄」のことで、「ラテ」と一緒に呼ばれているが実際には10年くらい前に分離され、ラジオだけ中面にある(日経と東京はテレビも中面)。BSの普及などでテレビのチャンネル数が増えたため紙面が狭くなり「ごめんね、ラジオさん」と立ち退きを言い渡されたのだった。
 担当番組のラジオ欄は自分で書いているのだが、これはどれくらい読まれているのだろうか?僕が中高生の頃はラジオの深夜番組に勢いがあって、もちろん自分も聴いていたからリスナーにしかわからないようなフレーズがラジオ欄に書いてあると妙に嬉しかったり(オタクだな)、FM誌も今のテレビ雑誌並みにやたらと発行されていたから(当然買ってました。僕はミーハーな「FMステーション」派だった)今考えてみるとずいぶんラジオが注目されていた時代ではあった。
 ところが今のラジオ欄は立地条件も悪いし、メインストリートからずいぶん奥まったところにある老舗のショーウインドウ、骨董屋や古本屋みたいにわざわざ訪ねてくる暇人がいればいい方で、近所の皆さんだけがお茶1杯で居座る古びた食堂の、埃をかぶったラーメンの模型・・・みたいな感じになっているんじゃなかろうか。こういう場合、流行る店にしようと思えばやることは明確で、長居する近所の皆さんにはどいていただき、メニューも一新し、ショーウィンドウの中身も入れ替え、通りがかりの人も入りやすいような店構えにするしかない。ラジオのリニューアルも同様なのだが、隣に古臭い巨大な老舗があるせいでウチはなかなか表通りから見えず、早くなくならねえかな隣、と思ったりして・・・。何の話だっけ。ラテ欄か。
 このラテ欄、実はおかしなルールがいくつかあって、例えばタレント名をアルファベット表記してはいけないことになっている。だからaikoは「アイコ」、MEGUMIは「メグミ」、ミュージシャンのTOKUは「トク」と書かねばつき返されてしまう。「わかりにくいから」という理由らしいが、ビジュアルの印象が異なると逆に目にとまらなくないか?日本人は漢字を使う民族だからなおのことだ。「ラジオだから差別されてるんじゃないだろうな」と被害妄想に駆られてテレビ欄を確認したら「カバちゃん」(もちろん振付師の彼のことだ)という表記があったのでテレビも事情は同じらしい。
 でもさ、ラテ欄じゃない例えば芸能面とかで、MEGUMIのことをメグミと書いたらわかりやすいどころか「間違い」でしょ?このダブルスタンダード、新聞社の人はどう思っているんだろう?aikoはアイコと書かれたくないからaikoと表記している訳で、新聞社に勝手に変えられて不愉快じゃないのかしら。
 そういえば、イラクで一時拘束されたフリージャーナリストは「一般人扱い」なので「さん」とか「氏」とか敬称をつけなきゃいけないのだそうだ。彼をどのように扱うかは番組側が決めることで、ラテ欄担当者が判断することじゃない。まさか「勝手に現場に突っ込んでいくフリーランスはジャーナリストと認めたくないし、脚光も浴びて欲しくない。新聞社の下請けとして無名のままネタだけ拾ってあとは引っ込んでいて欲しい」なんてさもしい了見じゃ・・・。考えすぎだよね、きっと(笑)。