共闘か消費か

 ジャーナリストの橋田信介さんと小川功太郎さんがイラクで襲撃された。お二人とも、今度日本に帰られたときには番組に出演してもらうべく、お願いをしているところだった。スタッフの中には小川さんとメールのやりとりをした者もいて、接点ができつつあったのだ。朝、一報を聞いてからテレビとネットを見続けるが詳しいことがなかなかわからない。夜になって、日本人の遺体が病院に安置されているらしいというところまでようやく判明する。
 大手メディアがイラクからほとんど撤退している中、危険地帯の取材はフリーランスが担っている。人が足りず、カネもないラジオはオリジナルの取材がほとんど不可能で、すぐれたフリーランスの記者と「共闘」することでかろうじて成り立っている。「共闘」というのはせめてそのスピリットを共有してこそそう呼べる。「共有しよう」という意思があって力を尽くせばギリギリOK。ネタにするだけでは単なる「消費」だ。今回、わが番組には共闘の意思があったか?放送に立ち会えなかっただけに気になる。「ニュースの消費」については稿を改めて考えてみたい。

 親父はきょうから一般病棟に帰ってきた。母親が「お父さんは最近落語が好きでよく聞いている」と言っていたので、病室で聞けるよう落語のCDを買いに行った。NHKから出ている、志ん生や円生など昭和の名人たちによるポピュラーな噺を収録したCDを4枚購入してプレゼントした。親父は病室にカセットテープも持ち込んでいて、午後からは傷の痛みも軽くなってきたのかそれを聞き始めたが、そのカセットは落語は落語だが「艶笑譚」(笑)。最近、渡辺淳一を読んだりもしてるようだし、齢70にして性欲が昂進しているのではあるまいな。お気に入りの看護婦さんもいるようで、きっと回復は早いに違いない。親父さん、傷が治ったら某ラジオ番組の人気企画「お色気大賞」のカセットをプレゼントするからね。もちろん、おふくろさんには内緒でね。

 きょうの「朝まで生テレビ」は最近ちょっと変な田原総一郎氏ではなく宮崎哲弥さんが初の司会だ。前回に続いて勝谷誠彦さん、久々の宮台真司さん、初登場の日垣隆さんほか、いつも注目している人が日朝問題についてどんな議論を展開するか楽しみだ。「ニュースステーション」が久米さんの後任で苦労したように、ポスト田原総一郎、ポスト筑紫哲也も喫緊の課題だがなかなか具体化が難しい。キャストの世代交代に苦しんでいるのはラジオだけではないようである。