プロデューサーだって卓に座る

 「卓」といっても麻雀卓ではない。放送用でも音楽用でも、音声用のスタジオをイメージしてもらうと、フェーダーやボタン、VU計なんかがズラッと並んでいる、メカニックな、いかにも音の職人が使いそうなコンソールがありますよね。アレのことをラジオ制作者は「D卓」あるいは単に「卓」と呼ぶのです。そこでキューを出すので「Q卓」と称する人もいるけど、僕のまわりではあんまり一般的ではないかな。その「卓」の話。
 きょうは営業がらみで始まる新コーナーのリハーサルがあって、営業マンや代理店などが10人近くが集まった。D卓には僕が座った。営業と打ち合わせをしてきたのは僕だし、OA前で忙しい他のスタッフの手を煩わすのは気が引けたからである。
 で、いざ始めようとすると(その場にいる人よりも)少しエライ人が来て、「おっ、○○。お前なんでそこに座ってんだ。そんなことできんのか?」と言いやがった。珍しいものを見たのでからかったんだろうけど、出来るのが当たり前だろ(笑)。第一、僕にとっては珍しくもなんともない。
 こういう時に、一部のエライ人との認識のズレを感じるんだよなあ。
 前に書いたかもしれないけど、プロデューサーには2種類ある。番組のあらゆる部分に関心を払うタイプと、キャスティングと枠組みだけ決めてあとはお任せ、一丁あがり、というタイプだ。後者は演出を考えたり台本書いたり、選曲したり編集したりはしない。ホントは「しない」んじゃなくて「できない」だけで、ジョブローテーションの都合上仕方ない側面もあるにはあるが、プロデューサーがスピリットを注入しない番組なんて面白いか?
 あと、後者のタイプのプロデューサーのもとには利権が発生しがちである。僕は実例をいくつも知っている。だって番組の中身はどうでもいいんだからね。