ミスマッチ選曲2

 歌詞わかっててかけてんのかいな、といつも気になるのは某証券会社の投資ファンドのCMで使われているCCRの「雨を見たかい」。

Someone told me long ago, there's a calm before the storm.
I know, and it's been comin' for some time.
When it's over, so they say, it'll rain a sunny day.
I know, shinin' down like water.

I want to know, have you ever seen the rain?
I want to know, have you ever seen the rain
comin' down on a sunny day?

(誰かが昔、こう言っていた/嵐の前はだいたい穏やかなものだと/それが済むと人はこう言うんだ/晴れた日にも雨は降るんだと/雨粒みたいにキラキラ降ってくるんだ/そんな雨を見たことがあるかい/晴れた日に降ってくる雨を)

 ここで「雨粒みたいにキラキラ降ってくる」のはベトナム戦争で米軍が使用したナパーム弾*1のことだ。「雨を見たかい」は天気雨の歌ではなく、反戦ソングであり、当時はアメリカで放送禁止にまでなっていた歌なのである。たぶんCMを作った人(想定30代)は、「団塊世代向けの金融商品だから当時のヒット曲を使おう」と思ったんだろうけど、歌詞の意味を知ってる団塊世代の人たちはフクザツな心境になるんじゃなかろうか。それとも「オレも昔、投石とかしたっけな〜。若かったな〜」と遠い目をするのかしら。
 今回、このネタを書こうと思ってあちこち調べてたら、「このCMはどうなのよ」と突っ込んでる人をネット上で何人も見つけた。みんな気になってたのね。「投資家も焼き尽くす気か」と書いてる人がいて笑った。これも「全てわかっててあえて使った」のならすごいが。

 他人のことをとやかく書いたけど、自分だって歌詞の意味をわからずに選曲したことがあるはずだ。うむ。絶対やっている。

*1:ナパーム弾:朝鮮戦争時にアメリカ空軍が開発した油脂性焼夷弾。ゼリー状にした油を充填し信管をつけた爆弾で、900〜1300度で燃焼するため人体の被害は高度のやけど、つまり黒こげになる。また、燃焼する時に大量の酸素を使うため、火傷を免れても窒息死する。ちなみに「ナパーム」とは原料であるナフサとパーム油(正確にはナフテン酸=naphthenic acidとパルミチン酸=palmitic acid)の頭文字をつなげたもので、「セロテープ」とか「ウォークマン」のような商品名だそうだ。「特定通常兵器使用禁止・制限条約」では非人道兵器として禁止されているが、米軍は対イラク戦争でも使用したらしい。