メタルは迷惑な外れモノなのか?

 明日の台本とオフ編成の企画書を大急ぎで書いて、夜9時過ぎから渋谷のシネアミューズで「メタル〜ヘッドバンガーズ・ジャーニー」を観た。番組で取り上げるためである。

 ここでいう「メタル」とは音楽のジャンルであるヘヴィ・メタルのこと。大学で人類学を学んだカナダ人のメタルおたくが監督となり、自らを主人公に伝説的人物の証言を集めていく、というスタイルのドキュメンタリーである。だからタイトルの「ヘッドバンガー(メタルのライブで頭を激しく上下に振る奴)」とは監督自身のことだ。起源や歴史もしっかり押さえ、メタルをフィールドワークした研究発表みたいな感じ。


 メタル界の往年のカリスマたちのインタビューはなかなか面白いが、こちらももともと音楽好きなので「メタルとクラシックは関係が深い」とか「ワーグナーとの関連が」とか今さら言われても「そりゃそうだろ」と思うだけでさほどの発見は残念ながらなかった。唯一、ノルウェーの反キリスト教的なメタルに影響された連中がホントに教会への連続放火事件を起こした、という話は初耳だった。悪魔系メタルを作ったイギリスのバンドは「あれはネタだった」と述懐しているから、「田舎者はネタを真に受ける」ということなのか?日本の北部辺境出身の田舎者としては何となく思い当たるフシが。

 僕のメタル歴はもうホントにちょっと囓っただけで、中学の同級生がアイアンメイデンにはまっていたのを横目で見たり、大人になってから後ヅケでツェッペリンやディープ・パープルを聴きなおしたくらいである。そういや、84年頃の札幌のディスコではヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」が普通にかかっていた記憶も(笑)。
 この映画の監督が作ったメタルの系譜はなかなか読ませる。メタル好きは帰りがけにパンフレットを購入すべであろう。