千年紀末に降る雪は


 金曜日の朝、突然キリンジの「千年紀末に降る雪は」が聴きたくなってiPodでリピートプレイ。もともと好きな歌だったがいったいどうしちゃったの、ていうくらいこの曲ばかり聴き続けている。


 ウッドベースアコースティックピアノ、少しユーモラスなチューバとトロンボーンに流麗なストリングスがからむ美しいアレンジは冨田恵一。「亡き王女のためのパヴァーヌ*1の引用も耳をひくが、やはりすごいのは堀込高樹の歌詞だ。印象的な場面を映画のように切り取りつつ、内容は哲学的だ。http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND29882/index.html


  君が待つのは世界の良い子の手紙
  君の暖炉の火を守る人はいない
  永久凍土の底に愛がある
  玩具と引き替えに何を貰う?


 善きことを信じて続ける行為も砂漠に水を撒くようなもの。世間からは嘲笑われ、受け入れられなくてもそれを続けるしかない。そもそも自分の行いが善きことなのかどうかも疑わしく、その先に希望があるのかどうかもわからない。どちらかというと少しずつ破滅に向かっているが止めようもない。地上の喧噪とは無関係に雪は降る・・・。


 「千年紀末に降る雪は」はサンタが出てくるのでクリスマスソングにカテゴリーされているみたいだが、むしろ大晦日あたりに聴くのがぴったりだ。サンタも遅刻だしね。
 タイトルに“千年紀末”とあるので21世紀ではなかなかOAしにくいが、「エイリアンズ」同様称揚されるべき美しい曲である。両曲とも所収のアルバムはこちら。

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*1:モーリス・ラヴェルの有名なピアノ曲。作曲されたのは1899年で、ひとつまえの世紀末である。それも意図のうちか?