【後出しブログ】特番の作り方


 6月24日書いて、UPしていなかったものを転記します。


 「ストリーム」聴取率調査週間のオーラスは特番であった。
 6月23日(金)午後5時50分〜午後10時放送「輝く!『コラムの花道』傑作選〜オールタイム・リクエスト」という番組。プロ野球交流戦で変則日程となり、ナイター中継枠がぽっかり空いてしまったためレギュラー番組の派生企画で埋めよう、という編成方針なのであった。“聴取率調査週間の特番”ということはそれで数字を獲れ、という意味である。ほんの数年前、「ストリーム」は打ち切りの危機にあったことを考えると「思えば遠くへ来たもんだ」と感慨を抱かざるをえない(笑)。

 
 そうは言ってもレギュラーの「ストリーム」も聴取率調査中なのでそれほど手はかけられない。人気コーナー「コラムの花道」の過去の音源を使ったアーカイブ企画だったら最小の努力で面白い番組が出来るだろう、という訳で特番の概要は固まった。


 以下は今回の特番制作過程を時系列で振り返ったものである。「ラジオ制作者はどんな感じで仕事をしてるのか」ご参考までに。

■5月末〜「ストリーム」スタッフに対して過去の傑作洗い出しを依頼。
     1週間ほどで推薦作がだいたい集まる。

■6月上旬〜ウェブサイトでのリスナーから「コラムの花道」過去の傑作を
      募集するための事前手続き(個人情報を扱うには届けが必要なのだ)、
      募集告知文を作成
      番組の全体像を考えて、ゲストへの出演依頼。

■6月8日〜「傑作選」リクエスト用フォームが「ストリーム」のサイト上に
      オープン、受付開始

■6月15日〜放送前1週間にOAする番宣CM制作

■6月16日〜再放送する「コラムの花道」の第一次選考。
       スタジオのパソコンにはポッドキャストにアップロードするため、
       過去の音源を保存されている。
       それを自分のハードディスクに移し、さらにiPodに移して
       ゲストの水道橋博士に参考資料として渡す。
       バイク便で送ろうかと思ったが博士の自宅が帰り道にあったので
       電車を途中下車して持参。

■6月17日〜構成の打ち合わせ。構成作家に第1稿を依頼し、
       Qシート制作に取りかかる。

■6月18日〜ライブの打ち合わせ等で作業進まず。

■6月19日〜引き続きQシートを制作。
       最近のQシートはだいたいエクセルで作られる。
       特番のフォーマットは1回きりなのでやや手間がかかる。
       担当ディレクターを交え、全体打ち合わせ。
       ここまで来てようやくスタッフに仕事を割り振りできる。
       自分も含めたディレクター4人で2本ずつ
       「コラムの花道」音源の編集を担当することに。
       リスナーリクエストと博士の推薦を元に音源を一部差し替え。

■6月20日〜「ストリーム」OA後、サウンドステッカー*1用のナキ*2を録音する。
       自分のパソコンで音源の編集開始。
       トヨザキ社長の“「愛の流刑地」祭”18分を3分に。

■6月21日〜TBSラジオへ収録に来た水道橋博士と打ち合わせ。
       引き続きパソコンで音源編集。
       辛酸なめ子さんのネタ3本(およそ1時間)を13分に、
       町山智浩さんのネタ4本(およそ1時間20分)を19分に。
       編集の合間にADが選んだBGMなどをチェック。
       OA時に読むためのナレーション原稿を作ると
       もう22日の昼。「ストリーム」のOAである。

       午後3時半「ストリーム」終了後に、同じスタジオで
       一部の音源を組み立てる。


 企画自体は単純なものだったが「傑作の編集」はけっこう大変であった。どの回も聞き直すと面白く、捨てるところがほとんどないためである。どのディレクターも2人分を編集するのに一晩かかっていた。
 OA自体は面白かったが、4時間10分がずーっと濃いのでスタジオにいてさすがに疲れた。ラジオで聴いた人はどうだったか。

*1:通称SS。他局ではジングル、という。

*2:番組やコーナーのタイトルコールのこと。通常のナレーションと異なり、思い切り声を張るところから来たネーミングらしい。ラジオ初体験のパーソナリティはディレクターにスタジオでいきなり「ないてください」と言われて面食らう。