僕らのサイフから金を抜く奴らの手口とは

 きょうの某夕刊には保守論壇の論客の皆さんが、安倍総理の功績について「戦後レジームからの脱却をうたったのは正しかった」「今後の日本にとってのレールを敷いた」と評価するコメントを寄せている。その価値がわからない国民はバカだ、と言わんばかりなんだけど、安倍政権が崩壊したのはそういう理由じゃない。役人も政治家も、国民の金をちょろまかして懐に入れていることがわかったからNoを突きつけたのだ。「ちょろまかし」では表現がやさしすぎるだろう。税金泥棒だ。


 税金泥棒の構造は目を離すと温存されてしまう。だからこういうスクープは貴重である。読売新聞きょうの朝刊一面より。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070918-00000001-yom-soci&kz=soci


 要するに公益法人改革で解散したはずの「天下り先」が民間企業として存続していたという話で、旧郵政省の「かんぽの宿」は厚労省グリーンピアと同じだということだ。預けた郵便貯金はちゃんと残っているのかね。こっちは通帳があるだけ年金よりマシであるが。


 税金泥棒の手口は数限りなくあるようで、僕の愛読紙「東京新聞」の特報面右肩の“ニュースの追跡”では、きのう故松岡利勝農水大臣の資金管理団体が別名の政治団体として存続し、2億5000万円を超える繰越金もろとも消えてなくなろうとしている、と報じた。


 故松岡氏の親族が繰越金を相続すれば、当然のことながら贈与税相続税が課税される。一方、政治団体が引き継ぐ形にすれば税金はかからない。
 政治団体は2年間「収支報告書」を提出しないと解散になるが、政治資金規正法では解散した政治団体の資金処理方法を定めていない。つまり政治団体が金を集めるだけ集めて解散すれば、集めた金は使い放題にできるという話なのだ。「法の抜け穴」とはまさにこのことで、政治を目的に金を集めて税法上の優遇措置を受けたのなら、政治に使わないことがハッキリした段階で国庫に納付するのがスジである。


 「週刊現代」は今週号で、安倍総理が父親の晋太郎氏の遺産を政治団体を通じて引き継いだという“脱税疑惑”をスクープしたが、「政治資金」は不正行為の温床であり続けいっこうに改まる気配がない。僕らのサイフから勝手に金を抜き取る連中は泥棒として摘発しなければならないし、こうした談合・横領体質こそが克服されるべき「戦後レジーム」なのである。


 ところで「安倍総理はそれでも正しかった」と言い張る保守論壇の皆さんはみっともないが、だからと言って「ほ〜ら、見たことか〜」と大ハシャギする某新聞社のコラムニストもそれはそれであさましい。冷静にやろうよ冷静に。まるでスキップを踏むようなそのコラムは、きょう発売の某新聞社系週刊誌で読める。