想像力の欠如と嫉妬

 朝、ラジオを聴いていたら「国はいつまでも曽我ひとみさん一家の面倒を見続けるべきではない、という意見に賛成か反対か」というテーマで意見を募集していた。番組宛のメールを元にした問いかけだそうだ。
 結果に驚いた。この意見に賛成した人が53%もいたのだ。どちらかというとリベラルで、良心的な番組のリスナーにしてこの数字。しかもその論拠は、

  1. 超一流のホテルの高い部屋じゃなくて、一泊一万円くらいのビジネスホテルでもいいんじゃないか。
  2. 一体あの家族のためだけにいくらの税金が使われているのでしょうか。世の中には国の保護を受けられず、泣いている人はたくさんいます。

 というもの。
 ジャカルタでホテルのフロアを借り切ったのは警備上の理由だし(北朝鮮当局者と自由に接触させてどうする!)、「わたしたちの税金が」という人は今回かかった金額を日本国民全員の数で割ってみればよい。おそらく1円にもならないはずだ。ウチは親子3人、曽我さん一家のために3円出すのは全く惜しくありません(笑)。
 「世の中で国の保護を受けられずに泣いている人」の問題は国がちゃんと対応すべき問題で、曽我さん一家と引き比べて論じるべきものではない。
 「税金の無駄遣い」と言うのなら、郵政「民営化」や道路公団「改革」で隠される何十兆円もの赤字や、国民との契約違反と言っていい年金の減額にこそ怒りのホコ先を向けるべきだ。こういう人たちは、倒すべき敵の所在を間違っているのである。
 ラジオを聴きながらムカッ腹が立ったが、こういうテーマで意見を募集するのはたいへんすばらしい。考えるきっかけになるからね。